⑦ビスホスホネート製剤と顎骨壊死について


今回はビスホスホネート製剤(BP製剤)と顎骨壊死について書いていきます。



ビスホスホネートは破骨細胞の活動を阻害し、骨の吸収を防ぐ医薬品です。(ウィキペディアより)


ちなみに

破骨細胞とは、簡単に言うと骨を壊す細胞です。


反対に骨芽細胞は骨を作る細胞です。



次に顎骨壊死とは、顎の骨や細胞が局所的に死滅し、骨が腐った状態になることです。


ビスホスホネート製剤は

・がんの骨への転移

・悪性腫瘍による高カリウム血症

・骨粗しょう症 に対する治療に用いられます。



当院では、骨粗しょう症の治療でビスホスホネート製剤を服用している患者さんが多いです。



ビスホスホネート系製剤はどのように骨に影響するのでしょうか?


先ほどビスホスホネート系製剤は破骨細胞の活動を阻害し、骨の吸収を防ぐ医薬品と説明しました。


ビスホスホネート系製剤の作用メカニズムは、破骨細胞のアポトーシスを促進させて破骨細胞の生存期間を短縮させることにあるとされています。


アポトーシスとは細胞の自殺を意味します。


このようにビスホスホネート系製剤には骨吸収機能を低下させる作用があります。



体中のたくさんの骨の中で顎骨のみに壊死が起きる理由としては、


・顎骨は口腔内というたくさんの細菌が存在する環境下にある。

・咀嚼や歯ぎしりなどで骨に力がかかる。

・顎骨は全身の骨の中で最も新陳代謝がはやく、ビスホスホネート系製剤が高濃度で沈着しやすい。


などが考えられます。



細菌に感染すると白血球が細菌を取り込み殺菌します。


白血球は殺菌のために様々な物質を産生・放出します。それらの物質は細菌に対して有害作用を持ちますがヒトに対しても傷害的に作用してしまいます。


ビスホスホネート系製剤は白血球に作用して、白血球の働きを強めてしまうそうです。



奥羽大学の研究では


細菌+白血球 < 細菌+白血球+ビスホスホネート系製剤


ビスホスホネート系製剤によって産生する殺菌物質の産生量が多いことが認められたそうです。


ビスホスホネート系製剤が白血球に作用して殺菌物質が過剰に生産されると、顎骨壊死が起こると考えられています。


顎骨壊死を起こさないためには、口腔内を清潔に保つことが大切です。



細菌がたくさん存在しなければ、ビスホスホネート系製剤の刺激だけでは白血球から過剰に殺菌物質が産生されることはないからです。


顎骨壊死を起こしてしまった場合の治療としては、口腔内を清潔にする・壊死した骨の除去などがあります。



☆ビスホスホネート系製剤の休薬について

ビスホスホネート系製剤の休薬が顎骨壊死発症を予防するという明らかな臨床的根拠は得られていないそうです。



顎骨壊死の局所性因子として義歯の不適合(合わない義歯)も挙げられます。

合わない義歯によって傷ができると、そこから細菌に感染してしまうためです。


全身性因子としては、がんに対する化学療法・ホルモン剤療法、糖尿病、喫煙などが挙げられます。



口腔内を清潔に保ち、細菌数を減らすことで顎骨壊死を予防しましょう。




(今のところ顎骨壊死を引き起こされるといわれているのは、ビスホスホネート系製剤と、デノスマブです。

今回はビスホスホネート系製剤について書きました。

ビスホスホネート系薬剤関連顎骨壊死は、BRONJ(Bisphosphonate-related Osteonecrosis of the Jaw)と言われています。)



参考文献:日本歯周病学会 ビスフォスフォネート関連顎骨壊死に対するポジションペー

     パー

     リウマチ情報センター 顎骨壊死

     長野赤十字病院 がん治療センターだより 第14号

     奥羽大学 骨粗鬆症治療薬による顎骨骨髄炎・骨壊死の発症メカニズムを探る



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