歯科医療・診療における新型コロナウイルス感染予防について
歯科治療における新型コロナウイルス感染予防対策について、東京歯科大学名誉教授・奥田克爾先生よりご提言をいただきました。
こちらを参考にして、感染予防に努めていきます。簡単に説明します。
1.スタンダードプリコーションの遵守
①治療を行う際は、すべての患者は何らかのキャリア(保菌者)とみなし、グローブ・マスク等を着用し感染防御にあたる。
②患者ごとに器具を滅菌する。
③すべての患者に対して、処置前に抗菌洗口薬(当院ではオゾン水を使用します。)でのうがいを求める。できればがらがらうがいをしてください。
④タービンや超音波スケーラーを使用する際はバキューム、口腔外バキュームを使用する。
⑤印象採得物の消毒。
2.発熱患者への対応
①37.5℃以上の発熱が4日間続いている患者に対しては最寄りの保健所に設置されている「帰国者・接触者相談センター」へ相談するよう促す。
②37.5℃以上の発熱がある患者に対しては応急処置に限定する。
③すべての発熱患者に速やかな帰宅を促す。
3.歯科治療前の抗菌性洗口液によるがらがらうがい
①ポビドンヨードは多くのウイルスを不活性化させるため、イソジンやネオヨジンによる所定の濃度でのうがいをお願いする。
②抗菌性洗口液のエッセンシャルオイルのリステリン液は、エンベロープを有するインフルエンザウイルスを不活性化させるため、COVID-19にも有効と考えられる。
しかし、抗菌性洗口液に含まれるグルコン酸クロルヘキシジン(CHX)と塩化セチルピリジウム(CPC)の短時間でのウイルス不活性化効果は低い。
☆ポピドンヨード液を使用したうがいは、エアロゾルからの感染リスクを下げます。
しかし過度な使用は口腔内の常在菌に影響を与えることも考えられます。
4.診療室の頻繁な消毒と換気
①エンベロープを有するCOVID-19は、消毒用アルコールで不活性化するため、ユニットをはじめとする周辺環境に噴霧する。次亜塩素酸ナトリウムは0.05~0.1濃度で不活性化させるため、ユニット・床・ドアなどの消毒に有効である。使用時には十分に換気をして、使用後は水道水で洗い流す。
☆希釈した次亜塩素酸ナトリウムの濃度は低下するため、作ってすぐに使う。
②COVID-19はエアロゾルで短時間に不活性化しないことが分かってきたことから、頻繁な換気を行う必要がある。
③診療室を離れる際には、手指の消毒を行う。
④殺菌灯があればつける。
⑤ほとんどの洗剤は、エンベロープを持つCOVID-19を不活性化できるので、白衣は複数そろえて頻繁に洗濯する。
5.診療機関スタッフに発熱がある場合は医療現場に立ち入らない。
以上です。